目のくぼみは、骨密度の低下かもしれません
2024.02.01
年齢が上がるにつれてだんだん目の下のくぼみが気になってきた、なんてことはありませんか?
スキンケアやフェイスマッサージなどを頑張っている方もいらっしゃるかもしれませんが、根本的な原因は、皮膚ではなく別にあるかもしれません。実は、骨密度の低下が“老け顔”をつくっていることがあるのです。
骨密度が低下すると、顔の骨もやせ細る
骨密度が低下すると、骨折しやすい、猫背になりやすいといったことはよく知られていますが、それだけではなく、見た目にも大きくかかわります。
というのは、骨密度が低下するのは手や足の骨だけではありません。顔の骨、頭蓋骨もやせ細るからです。
実際、高齢になるにつれて、目の周りの骨がやせて、眼窩(眼球が入っているくぼみ)が広がりやすいことがわかっています。そうすると、目の下のくぼみが目立つようになります。
また、頭蓋骨全体の骨量が減れば、その分、頭皮がゆるみ、シワやたるみの原因になります。
加齢とともに骨がもろくなる理由
骨は、“壊す”と“つくる”のバランスで成り立っています。
骨を壊す「破骨細胞」が古くなった骨を溶かし、吸収し終わると、骨をつくる「骨芽細胞」が新しい骨をつくり始めます。この破骨細胞と骨芽細胞の働きによって、骨は新陳代謝を繰り返していて、絶えず新しい骨に生まれ変わっています。3~5年で全身の骨がすべて生まれ変わるといわれるほどです。
ところが、次のような理由で加齢とともにそのバランスが崩れやすいのです。
●ホルモンバランスの変化は骨のバランスも変えてしまう
女性は閉経後に骨粗しょう症になりやすいことはよく知られています。
閉経を迎えてエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が減少すると、破骨細胞と骨芽細胞のバランスが崩れやすいのです。エストロゲンには、破骨細胞の働きを抑え、骨芽細胞の働きを活性化する作用があります。そのためエストロゲンが減少すると、骨をつくる力よりも骨を壊す力のほうが強くなってしまうのです。
●加齢とともにカルシウムの吸収率が下がる
また、高齢になると、腸でのカルシウムの吸収が悪くなることも知られています。そのため、若い頃と同じようにカルシウムをとっていても、骨がもろくなりやすい。
●無理なダイエットをすると、骨貯金ができない
他にも、過度なダイエットはカルシウムをはじめとした栄養不足をまねき、骨を弱くします。また、若い頃に過度なダイエットをしていた人は、骨量を増やすべき時期に十分に増やせず、早くから骨粗しょう症を起こしやすいことも知られています。
●生活習慣病、喫煙、飲酒も原因に
そのほか、喫煙もエストロゲンの分泌を低下させますし、過度な飲酒が骨芽細胞の働きを妨げること、糖尿病やCOPD、慢性腎臓病などの生活習慣病は酸化ストレスを招き、破骨細胞の骨を壊す力を強めてしまうことなども知られています。
骨粗しょう症を防ぐために食べるべきもの、避けるべきもの
骨粗しょう症を防ぐには、骨の成分である「カルシウム」「タンパク質」と、カルシウムの吸収をサポートする「ビタミンD」がまず重要です。ビタミンDは、魚類やキノコ類などに多く含まれているほか、日光を浴びることでも活性化されます。
また、骨の形成を促す作用のある「ビタミンK」も大事で、ビタミンKが多く含まれているものには納豆や緑色野菜などがあります。
一方、摂り過ぎないように注意が必要なのが「リン」です。
リンも、カルシウムとともに骨をつくる成分の一つであり、体にとって必要なミネラルです。ただ、肉や野菜、牛乳や乳製品など、ほとんどの食品にリンは含まれているので、不足することは基本的にはありません。むしろ問題は、摂り過ぎです。
というのは、リンを摂りすぎると、カルシウムの吸収を妨げるのです。
リンは、インスタント食品や加工食品、レトルト食品、冷凍食品、清涼飲料水などにも多く含まれているため、こうした食品をなるべく控えることも、骨の健康には欠かせません。
40歳になったら骨粗しょう症健診を
特に女性は40代後半から骨量が低下し始めます。
そのため、特に自覚症状はなくても、40歳以上になったら定期的に骨粗しょう症検診を受けましょう。特に閉経後は、年に1回の測定をおすすめします。
ちなみに、中央区では40歳以上で偶数歳の女性区民の方を対象に、骨粗しょう症検診が行われています。