コレステロールの第4の指標「non-HDLコレステロール」とは?
2023.11.01
特定健診の血液検査で、脂質関連の項目として、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪のほか、「non-HDLコレステロール」が測定されていることがあります。お気づきでしょうか?
実は、脂質異常症の診断基準にも追加されています。
この「non-HDLコレステロール」にはどんな意味があるのでしょうか。
non-HDLコレステロールって何?
「non-HDLコレステロール」は、総コレステロールから、“善玉”と呼ばれるHDLコレステロールを除いたものです。
コレステロールには善玉と悪玉がある、とよく言われます。
“悪玉”がLDLコレステロールですが、実は、LDLコレステロール以外にも体に悪影響を及ぼすものがあるのです。すべてのコレステロールから善玉のコレステロールを除いた数値をチェックすることで、LDLコレステロール以外も含めて悪玉の量を把握できるということで、non-HDLコレステロールという指標が追加されました。
そもそもコレステロールとは
「コレステロールが増えた」「コレステロール値が上がった」と、あたかもコレステロール自体が悪者のように言われることが多いですが、そうではありません。
コレステロールも体にとって大事な成分です。細胞膜やホルモン、胆汁酸などの材料になります。
体に必要なコレステロールの約8割は、肝臓でつくられています。食事で摂るコレステロールよりも、体内でつくられるコレステロールのほうがずっと多いのです。
善玉、悪玉のコレステロールとは?
肝臓でつくられたコレステロールは、「LDL」という粒子(リポたんぱく質)に乗せられ、血流に乗って全身に運ばれます。コレステロールは全身の細胞にとって必要なものですが、必要以上に運ばれて来ると、余ってしまいます。そして、余ったLDLコレステロールは、血管の壁に沈着して動脈硬化の原因となります。
その余ったLDLコレステロールを回収してくれるのが、「HDL」です。
そのため、LDLコレステロールは悪玉と呼ばれ、高ければ高いほどよくありません。余ったコレステロールを回収してくれるHDLコレステロールは善玉で、少ない(低い)と問題なのです。
中性脂肪とは?
中性脂肪はというと、第一のエネルギー源であるブドウ糖(グリコーゲン)が不足したときに使われる、第二のエネルギー源です。ある程度は必要ですが、余ると、内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられます。
また、中性脂肪が増えると、悪玉のLDLコレステロールが増え、善玉のHDLコレステロールが減りやすい。そのため、中性脂肪値も高ければ高いほど良くないのです。
脂質異常症の診断基準
悪玉であるLDLコレステロール、中性脂肪、non-HDLコレステロールは低く、善玉のHDLコレステロールはある程度高くコントロールすることが大切で、そのバランスが崩れた状態を「脂質異常症」と言います。
具体的には、次のいずれかに該当する場合、「脂質異常症」と診断されます。
●LDLコレステロール:140mg/dL以上
●中性脂肪:空腹時150mg/dL以上、非空腹時175mg/dL以上
●non-HDLコレステロール(総コレステロール-HDLコレステロール):170mg/dL以上
●HDLコレステロール40mg/dL未満
ただし、この基準に該当したからといって、即、薬による治療が必要というわけではありません。
まずは、ウォーキングなどの運動や、食べ過ぎ、脂っこいものや甘いものは控えるなど、生活習慣の見直しが第一です。