10年以内に心血管病を起こす確率がわかる⁉
2022.08.01
心筋梗塞や脳梗塞を10年以内に起こす確率は――。
突然死の原因にもなる心筋梗塞や脳梗塞は、動脈硬化が進行して引きこされる病気です。これらを近い将来起こす確率はどのぐらいあるのか、教えてくれるツール(アプリ、webサイト)があります。
といっても、占いのようなものではありません。ちゃんとエビデンスに基づいて開発されたものです。健康診断で測るような項目を入力すると、「あなたが10年以内に心筋梗塞や脳梗塞などを起こす確率は●%ですよ」と教えてくれるのです。気になりませんか?
日本動脈硬化学会のリスク評価ツール「これりすくん」
一つは、「これりすくん」(https://www.j-athero.org/jp/general/ge_tool/)です。
これは、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」に基づいて開発された「動脈硬化性疾患発症予測ツール」です。アプリ版とweb版が、同学会のホームページで紹介されています。
どちらも中身は同じで、年齢、性別、喫煙習慣、血圧、耐糖能異常の有無、HDLコレステロール値、LDLコレステロール値――を入力すると、リスク判定をしてくれます。
教えてくれるのは、次の3つです。
・リスクは高いのか、低いのか
・10年以内の動脈硬化性疾患(心筋梗塞などの冠動脈疾患と動脈硬化性の脳梗塞)の発症確率
・同年齢、同性で最もリスクが低い人と比べて何倍の発症確率か
糖尿病、心血管病のリスクを教えてくれる「ひさやま元気予報」
もう一つのツールが、福岡県の久山町で50年以上に渡って行われている生活習慣病の研究結果をもとに開発された「ひさやま元気予報」(https://hgy-fukuoka.jp/)です。
こちらはwebツールで、web上で、性別、年齢、身長、体重、腹囲、血圧、高血圧の有無、HbA1c(血糖値の指標の一つ)、空腹時血糖、HDLコレステロール、LDLコレステロール、糖尿病の家族歴、1日の喫煙本数、運動習慣の有無――を入力していくと、結果が出ます。「これりすくん」よりも少し項目が多いです。
「ひさやま元気予報」で予測してくれるのは、「糖尿病のなりやすさ」と「心血管病のなりやすさ」。どちらも、「同性同年代と比べて何倍なりやすいのか」「5年後、10年後の発症確率は何%か」を予測してくれます。また、血管年齢も出ます。
自分にとって効果的な生活習慣病対策がわかる
「これりすくん」「ひさやま元気予報」が有用なのは、ただ発症リスクを教えてくれるだけではなく、シミュレーションを行えることです。
たとえば、入力画面に戻って、「血圧を10下げたらリスクは変わるのか」「運動を習慣にしたら……」「タバコをやめたら……」「体重を減らしたら……」などと試してみてください。いろいろと試すなかで、リスクを大きく下げるものがあれば、それが、あなたにとって効果的な取り組みなのです。
健診結果を活用しよう
健康診断は毎年受けていますか? 受けている人は、ちゃんと効果的に活用していますか?
A、B、C……といった判定結果のみを見て一喜一憂して終わるのではなく、その結果から予測される“将来のリスク”を知りましょう。そして、そのリスクを下げるにはどうすればいいのかを考えることが大切です。
「これりすくん」や「ひさやま元気予報」といったツールは、将来のリスクを知り、対応策を考えることに役立ちます。
健康診断はとりあえず受けているけれど、結果を見るだけで終わっている……という方、ぜひ一度、リスク評価を行ってみてください。Web上で入力するだけなので、数分で結果が出ますよ。
◎参考
浅野拓『健康寿命を延ばす「選択」“見える化”すれば、“合理的に”選べる』(KADOKAWA)
https://www.amazon.co.jp/dp/4041122465