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コロナ不安に陥らないために テレビとはいい距離感で

2021.04.01

緊急事態宣言は明けましたが、テレビをつけるとニュースやワイドショーでは連日新型コロナウイルス感染症関連の話題が続いています。
見ているうちに、どんどん不安になってくる、ということありませんか?
ワイドショーが見る人の心や行動にどんな影響を与えるのかを調べた調査があります。これによると、適度な距離感が必要のようです。

2万人以上を対象に、ワイドショーの影響を調査

新型コロナについてどんな情報を信頼し、どんな感情を抱いて、どんな感染予防行動をとったのか――。
このことを全国レベルで行った調査があります。
帝京大学大学院公衆衛生学研究科の桑原恵介先生らが調査したもので、1月27~29日に開催された第31回日本疫学会学術総会で報告されました。

これは、「日本におけるCOVID-19問題による社会・健康格差評価研究(JACSIS)」に参加した15歳以上の男女2万5,482人を対象に、2020年8月から9月にオンライン上で調査したもの。

①新型コロナについて情報源としたもの(テレビニュース、ワイドショー、官公庁、家族など20種類)
②それに対する信頼度
③新型コロナに対する感情(恐怖の度合い、他人の感染予防行動への不安)
④行動(自分の感染予防行動、感染予防行動をとっていない他者に注意したかどうか)

これらを尋ね、情報源とそれに対する信頼度が、感情や行動にどのように影響しているのかを調べました。

ワイドショーをよく見る人ほど、恐怖・不安が大きい

結果はというと、ワイドショーを信頼して視聴していた人は、視聴していなかった人に比べて、統計学上有意に、新型コロナウイルス感染症に対して恐怖を感じ、ニュースを見て不安になり、他人の感染予防行動に不安を感じていることがわかりました。
この傾向は、ほかの情報源の利用状況を調整しても変わらなかったそうです。
つまり、官公庁の情報や家族からの情報など、他からの情報も得ていても、ワイドショーの影響を強く受けるということでしょうか。

また、意外なのは、そんな風に不安を感じやすい「ワイドショーを信頼して視聴していた人」ですが、石鹸で手を洗う、人がいる場所ではマスクを着用するといった感染予防を実践する傾向は、とくに強くなかったそうです。
でも、感染予防行動をとっていない他者に注意する傾向は強かった、とのことでした。

「コロナ禍=情報災害」という側面も?

『緊急事態宣言で人々の行動・意識は変わったか?』(丸善出版)の著者の一人である東京女子大学の橋元良明教授も、ワイドショーをはじめとするテレビ番組で連日、コロナ関連のニュースが取り上げられることで不安度が増し、危機感が増幅されている、と指摘されています。
また、橋元教授らが行った調査によると、「新型コロナウイルスに対して身の危険を強く認識した出来事」として最も多くの人が挙げたのが「志村けんさんの死去」であり、そのことを最初に知った情報源として多かったのはネット記事やテレビでした(『緊急事態宣言で人々の行動・意識は変わったか?』より)。

こうしたことを受けて、コロナ禍とは「情報災害」だ、という指摘もあります。

情報は、不安の解消に役立つこともあれば、逆に不安を膨らませてしまうこともあります。
テレビのワイドショーは、視聴者にわかりやすく情報を届けてくれる反面、視聴者の興味・関心を集めるために“加工”されすぎている面もあるでしょう。適度な距離感が必要なのかもしれません。

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