コロナうつやコロナ不安の実情は?
2021.02.01
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、約半数の人が何らかの不安を感じ、1割の人で飲酒量が増え、2割の人でゲーム時間が増えている――。
厚生労働省は、このほど、「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査結果概要」を発表しました。
どの時期も半数が「不安」
この調査は、新型コロナウイルス感染症の拡大やそれに伴う行動制限などが心理面に与えた影響を把握するために、2020年9月11から14日にインターネット上で行われたもの。およそ1万件(10,981件)から回答が得られました。
まず、「2~3月」「4~5月」「6~7月」「8月~現在(調査時点の9月)」という4つの期間ごとに、不安などを感じたかどうか(①神経過敏に感じた、②そわそわ、落ち着かなく感じた、気分が落ち込んで、何が起こっても気が晴れないように感じた、④どれもなかった)をたずねた設問では、いずれの時期もおよそ半数の人が何らかの不安を感じていた、と回答しました。
不安の理由は、変わっていった
何に対して不安を感じていたのか、不安の対象についてたずねた設問では、どの時期も「自分や家族の感染」がいちばんでした。
ただ、2位以降の順番を見ると、当初は、マスクをはじめとした「生活用品などの不足」に不安を感じる人が多かったものの、そうした生活用品は充足していった一方で、ステイホーム生活が長引くなか、「自粛等による生活の変化」や「自分や家族の仕事や収入」への不安が高まっていったことがわかります。
「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査の結果概要」より
運動は減り、ゲーム時間は増えた
新型コロナの流行前と比較した日常生活における変化について、変化した(「増加した」「減少した」)、と回答した人の割合が多かったのが、ひとつは「運動量」でした。これは、39.1%の人が「減少した」と答えています。
また、「増加した」と答えた人が多かったのが「ゲーム時間」で、18.6%の人が「増加した」と回答しています。ちなみに、睡眠時間と飲酒量は、「増加した」「減少した」がどちらも1割程度と同程度でした。
家で過ごす時間が増え、運動量は減り、ゲームの時間は増えている様子がうかがえます。この設問の項目にはありませんが、スマホやネットを見る時間も増えているかもしれません。
不安やストレスを解消できていない人も
不安やストレスの解消方法で、いちばん多かったのは「手洗いやマスク着用等の予防行動」でした。たしかに、自分にできる感染予防を行えば、あとは神経質にならず、心配しすぎないことも大切です。
そのほか、「スマートフォンやインターネットを使って情報を検索」(35.7%)、「家族や友人に話をする」(21.0%)、「運動などで身体を動かす」(20.3%)といった解消方法が上位に上がりました。
そして、約半数の人は、こうした解消法で不安やストレスをうまく発散・解消できているとのことでした(「できている」5.0%、「まあできている」41.3%)が、「あまりできていない」(16.2%)、「できていない」(4.5%)と回答した人も2割ほどいました。
2020年の自殺者は11年ぶりに増加
新型コロナは、人が集ったり話したり、あるいは歌ったりといった、私たちの人間らしい営みを妨げました。また、緊急事態宣言が行われるなど、自粛が求められるなかで、体を動かす機会も減っています。
でも、私たちにとって誰かと話をすること、体を動かすことは、心の健康を保つ上でやっぱり欠かせません。
因果関係はわかりませんが、2020年の自殺者数は、前年に比べて750人多かったことが発表されました(厚生労働省自殺対策推進室の速報値より)。国内の自殺者数はこれまで10年連続で減少が続いていて、増加に転じたのは、リーマンショック直後の2009年以来だそうです。
感染症の予防に気をつけることも大事ですが、心を健やかに保つことも大事です。メールや電話、ビデオ通話といったツールも使いつつ、人との交流も大切にしましょう。そして、天気の良い日には外を歩きましょう。
そうした日々の楽しみやセルフケアを大切にする一方で、もしも、不安や不眠、気分の落ち込みといった症状が続くようであれば、専門家に相談することも大事です。
◎参照
「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査の結果概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15766.html