季節の変わり目の肌トラブル
2019.04.01
4月になりましたが、まだまだ日によっては肌寒く感じます。
季節の変わり目には体調を崩しやすいものですが、この時期には肌トラブルも起こりやすいものです。
皮膚の病気のなかでも多い疾患の一つ、アトピー性皮膚炎も、季節の変わり目になると悪化するという話をよく耳にします。
アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴う湿疹が慢性的に繰り返される病気です。
以前は、アトピー性皮膚炎と言えば「子どもの病気」というイメージがあり、成人になる前に治るケースが多かったのですが、最近では、子どもの頃に発症したものが大人になっても治らなかったり、大人になってから発症したり、成人のアトピー性皮膚炎も増えています。
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎は、「アトピー素因」と呼ばれるアレルギーにかかりやすい体質と、皮膚のバリア機能の低下によって皮膚が過敏になっていることに加えて、アレルゲンへの接触やストレス、衣類や化粧品などによる物理的な刺激など、いくつかの要因が複合的にからみあって起こります。
アトピー性皮膚炎の治療は、①かゆみを抑える「薬物療法」、②皮膚のバリア機能を支える「スキンケア」、③症状が悪化する原因となるものへの対策――の3つが柱となります。
ですから、薬だけではなく、生活環境や日常的なセルフケアも大切です。
スキンケアで大切な2つのこと
スキンケアで大切なのは、「保湿すること」と「清潔に保つこと」です。
アトピー性皮膚炎の患者さんは、角質層内の水分含有量が低下し、ドライスキンになっています。そのため、症状が出ていない部分、正常に見える部分も含めてしっかり保湿することが大事です。
また、アトピー性皮膚炎では、皮脂汚れや外用薬、汗などの体液の付着、黄色ブドウ球菌などの病原体が症状の悪化につながることがあります。そのため、皮膚を清潔に保つことも、バリア機能を維持し、症状を改善するために有用です。
保湿、洗い方のポイント
保湿の方法、体の洗い方のポイントは次のとおりです。
◎保湿方法のポイント
・1日2回(朝・夕)は保湿剤で保湿する
・そのうち1回は入浴直後に
・保湿剤は、正常に見える部分も含めて全体に塗る
・皮膚炎がおさまったあとも、保湿剤は継続する
◎体の洗い方のポイント
・入浴やシャワー浴時のお湯の温度は38~40度で
(42度以上のお湯ではかゆみが惹起されます)
・乾燥が強い部分、乾燥が強い季節には石鹸や洗浄剤の使用は最小限に
・皮脂の多い部分、軟膏を塗っている部分、皮膚感染症を繰り返す部分には石鹸や洗浄剤を積極的に使う
・石鹸、洗浄剤は刺激が少なく、色素や香料などの添加物が少ないものを選ぶ
・よく泡立ててやさしく洗い、石鹸や洗浄剤が残らないように十分にすすぐ
季節の変わり目には保湿と清潔を
「保湿」と「清潔」というスキンケアが大切なのは、アトピー性皮膚炎の患者さんに限りません。季節の変化や寒暖差によって不安定になりがちなこの時期の肌には、しっかり保湿すること、やさしく洗うことがやっぱり大切です。
そして、こうしたスキンケアを行っても肌トラブルが改善しないときには、皮膚科を受診してください。
2019年4月1日より、メディカルプライム新川の4階に「東京八丁堀皮膚科・形成外科」が開院いたしました。肌に関するトラブルにお悩みの方はご相談ください。